あなたも分かる!オールドヴァイオリンの鑑定(輪郭編)画像解説あり

こんにちは!


オールドヴァイオリン専門店

㈱ダ・ヴィンチヴァイオリン

山口保行です。



「オールドヴァイオリンの鑑定」シリーズ。今回はCカーブに続き、全体の輪郭編です。鑑定においては全体→細部を見ていきます。前回のCカーブが楽器の中心でしたのでその上下の輪郭を見るポイントを学んでいきましょう。


先日来られたお客様から聞いたのですが、絵画教室で教わる人間の顔の描き方で「顔を三分割する」方法があるようです。


上部:額~眉毛あたりまで

中部:瞼(まぶた)~鼻の下

下部:鼻の下~あごの先端


このように分けてパーツを描いていくと、お子様でもとても上手に描けるらしいです。実はヴァイオリンの寸法もこれと同じように三分割して考えます。


①上部(UB):ネック~コーナー(Cカーブの上部)まで

②中部(MB):Cカーブ

③下部(LB):コーナー(Cカーブの下部)~エンドピンのある底辺まで



フレンチ オールドヴァイオリン Lupot  1786



ヴァイオリンの場合、英語で横幅のことを英語でBouts(バウツ、両端の長さなので複数形)と言いますので、一緒に覚えましょう。楽器の場合、長さの単位は「㎜」(ミリメートル)を使用します。


①上部

最大幅をUB(Upper Bouts、アッパーバウツ)と言います。


<鑑定ポイント>

ヴァイオリンの肩に相当する部分です。ここではわかりやすく簡単な分け方で覚えましょう。男性型(肩が張っている)か、女性型(なで肩)です。どこから、どのような丸み(カーブ)になっているか意識すると良いでしょう。


肩が張っているような男性型

ネックの付け根からいったん横に広がってから下がっていく(台形的)感じです。


オールドヴァイオリンによく見られます。最近の楽器にはありませんがオールドだと、もっと肩が張っているタイプも見受けられます。



なで肩の女性型

ネックの付け根からすぐカーブが下がっているのが良く分かると思います。


現在の楽器はストラディヴァリ型が多いですが、ハイポジションを演奏する技術的なこともあってこのようななで肩な形が多いのだとも考えられます。



②中部

最大幅をMB(Middle Bouts、ミドルバウツ)と言います。


<鑑定ポイント>

形につきましては「Cカーブ」と同じですので前回の記事をご参考いただければ結構です。

MB(中部の横幅)は楽器のイメージを大きく左右します。この横幅やCの形は音や演奏(楽器の構え、腕、弓の使い方等)に影響がありますので意識した方が良いと思います(くびれがあれば良い、幅があればダメというものでは無いということです)。


ウエストが引き締まったタイプ



ブリティッシュ オールドヴァイオリン Tomosso Perry 1830



引き締まったタイプと横幅が広いタイプを比較してみましょう(裏だと横に倒れてしまって写真が撮れないため表側になります)。



f字孔を中心とした中部の横幅(MB、ミドルバウツ)の比較です。f字孔自体が左右離れているため幅広く見えますが、実際左のヴァイオリンより右のヴァイオリンの横幅の方が7~8ミリくらい広いです。




③下部

最大幅をLB(Lower Bouts、ロウワーバウツ)と言います。


<鑑定ポイント>

一番幅の広いところですので横にどう膨らんでいるのか(丸み)、そして底がどのような形をしているのか、を見ましょう。上部の肩タイプ(男性的・女性的)と同じように考えると良いと思います。



底が少し平らになっているタイプ



底があまり平らでないタイプ


では、ポイント(上下の輪郭)を意識して上にあげました二つのヴァイオリン(全体像・裏)を見て下さいね。



フレンチ モダンヴァイオリン Nicolas Vuillaume  ca.1850



以上、アウトラインの違いをご理解いただけましたか?


今は全然違いがわからなくても大丈夫です。段々と分かってくると思います。よりよく理解するためには比較が大事です。ご自分の楽器をよく観察したら、私の記事にある写真と比較してみて下さいね。ポイントを意識して見ていると段々と分かってくると思います。


次回はこれら「上-中-下」のカーブをつないでいる「コーナー」のお話しです。ここも製作者(年代)の特徴が出る部分なので違いが分かりやすいです。お楽しみに!


今日もありがとうございます。


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