f字孔クイズの回答!オールドヴァイオリンの鑑定(f字孔編)

こんにちは!

オールドヴァイオリン専門店

㈱ダ・ヴィンチヴァイオリン

山口保行です。


7月24日の記事「オールドヴァイオリンの鑑定(f字孔編)」で出したクイズの答え合わせをしましょう。クイズをご覧になっていない方はできたら記事をお読みになってからの方が楽しいですよ。


では回答の前にf字孔を見るポイントをおさらいしましょう!


<あなたにも分かる!f字孔の鑑定ポイント>

スクロール同様でカットの始めと終わりを意識します。「fの始まり(丸い穴、大きさと形)からどのように、どれくらい切っているのか」をトータルで見ることです。細かく言えば「〇の大きさ、形」「三角帽子の大きさ、形」「f字線の太さ(幅)」「上部と下部の角度」「縦線の角度」「fの横棒の刻み(切り方、左右の場所)」等です。他にもありますが、これらを意識するだけでも全体のイメージがつき鑑定(見方)の助けになるはずです。


f字孔の始まり(終わり)は頭の上に三角帽子を頭に乗せたような形をしています。帽子の先端からさらに細くなって頂点を目指し、そこから一気に下がりfの字を書いてます。この頂点の角度「Λ」(下はV)や幅が大事です。


準備はよろしいでしょうか?それでは問題の画像をご覧ください。


クイズは「このf字孔の面白い特徴は?」でしたね。ヒントは左右のf字孔をみることです。みなさん、お分かりいただけましたでしょうか?


では答え合わせです。このf字孔をポイントと左右のf字孔に当てはめてみると・・・


右のf字孔の特徴:〇の上の三角帽子が直角、下の帽子が斜めになっています。

左のf字孔の特徴:〇の上の三角帽子が斜め、下の帽子が直角になっています。


そう、このf字孔は普通の左右対称をしている(片方の裏返し)のではなく、なんと左右のf字孔が上下、逆さまに配置しているのです!


右f字孔を裏返して上下逆さまにすると左のf字孔の形になります(念のため:〇の大きさは下の方が大きいデザインになります)。これがこの楽器のf字孔の特徴でした。


時々f字孔の端(帽子の部分)が欠けている楽器がありますが、こちらは200年前のオリジナルの状態です。なぜ、この楽器の製作者がこのような形を選んだのでしょうか?真面目な方(職人さん)は「きっと何らかの意図があって行なったのだ」「音の影響を考えた結果、この形を採用した」「実験的に行った」等、理由を考えるのでしょう。もちろん真意はこの楽器の製作者本人しかわかりませんが、私は深く考えず「遊び心」じゃないかと思います。


「ヴァイオリン製作法に沿った」などと規則ガチガチではなく、もっと自由に製作した時代の名残りじゃないかな~と想像しながら楽しんで見ています。


以上ですが、f字孔クイズいかがでしたか?難しかったですか?当たった方はおめでとうございます!素晴らしいです。惜しくも外れた方、分からなかった方、どうぞご安心ください。私も含めディーラー達も最初はさっぱり違いがわかりません。時間をかけてじっくりとやっていけば大丈夫です。引き続き記事を楽しみに、気になった楽器がありましたらお気軽にご連絡くださいね。


今日もありがとうございます。


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