あなたも分かる!オールドヴァイオリンの鑑定(f字孔編)・画像による解説

こんにちは!

オールドヴァイオリン専門店

㈱ダ・ヴィンチヴァイオリン

山口保行です。



シリーズでお送りしているオールドヴァイオリンの魅力、見方、選び方ですが、前回の「オールドヴァイオリンの鑑定:スクロール(渦巻き)編」はいかがでしたか?


「比較のポイント」を意識して楽器を見れば誰でもわかるようになると思います。繰り返し画像を見ていると段々とイメージがついてきますので何度も読み返してもらえると嬉しいです。


今回はf字孔のお話しです。f字孔とはヴァイオリンを正面に見たときの中心にある左右のfの形(左側は裏返し)をした穴(英語:サウンドホール)のことです。演奏するとここから音が聞こえてきます。見た目にもヴァイオリンの顔ともいうべき「表情」を感じるところでもあります。ここから内部を確認したり、魂柱という柱の出し入れ・調整もここから行います。


f字孔もスクロール同様、製作者の個性や手作り感が出る一方でコピーされやすいのも特徴です。


オールドヴァイオリンの特徴として「ふくらみ」をあげました。ふくらみのあるアマティ型、シュタイナー型はf字孔にも特徴がありますのでこれも比較してみましょう。


<あなたにも分かる!f字孔の鑑定ポイント>

スクロール同様でカットの始めと終わりを意識します。「fの始まり(丸い穴、大きさと形)からどのように、どれくらい切っているのか」をトータルで見ることです。細かく言えば「〇の大きさ、形」「三角帽子の大きさ、形」「f字線の太さ(幅)」「上部と下部の角度」「縦線の角度」「fの横棒の刻み(切り方、左右の場所)」等です。他にもありますが、これらを意識するだけでも全体のイメージがつき鑑定(見方)の助けになるはずです。


では早速、画像をチェックしましょう!


①アマティ型

斜めから見てみましょう。

イタリアン オールドヴァイオリン ミラノ(Testore)スクール ca.1770


このヴァイオリンの場合、太い筆でfを書いているようですね。オールドヴァイオリンにはとても多い形です。

ジャーマンオールドヴァイオリン Neuner & Hornsteiner ca.1880


では先に述べたポイントからf字孔みましょう。f字孔の始まり(終わり)は頭の上に三角帽子を頭に乗せたような形をしています。帽子の先端からさらに細くなって頂点を目指し、そこから一気に下がりfの字を書いてます。この頂点の角度「Λ」(下はV)や幅が大事です。


アマティやシュタイナーの影響が強いオールドヴァイオリンは現代的なf字孔と比較すると、幅が広く、角度が丸みを帯びたカーブをしていて筆記体のfのような形をしています。


①と②の違いはf字孔の始まりの〇が縦長の楕円形をしているのが①アマティ型、円に近いのが②シュタイナー型と覚えるとわかりやすいです。上下で帽子にあたる切込みの部分が違いますのでそこもチェックください。どちらかというと下の〇と帽子を見た方が比較しやすいです。


全体の形としては太さがあるのが②シュタイナー型でこれよりも細目に見えるのが①アマティ型です。ただ製作時期による違いでふくらみ(f字孔の段差)があって正面写真だけで判断するのは危険です。なので今回は斜めから見たf字孔の写真を撮りました。皆様が良く見る正面写真の場合は立体感が出ませんのでやはり実物で学ぶのが大切です。


fの横棒の部分にあたる左右の刻み(< >)にも違いがあります。刻みの大きさの違いや、位置が上下左右でずれているのが分かりますね。


縦線の角度が垂直に近いタイプ


ジャーマン オールドヴァイオリン ca.1800


次はストラディヴァリ型に移ります。新作、モダンヴァイオリンはもちろん、量産ヴァイオリンのほとんどはストラディヴァリ型です。従いまして皆さんが見慣れているのはほとんどがストラディヴァリ風なf字孔です。


③ストラディヴァリ型のf字孔

モダンイタリアンヴァイオリン Gaetano Sgarabotto ca.1920


比較的ふくらみの低いストラディヴァリ型ですと段差がなく正面から見たf字孔はすっきりとして見えますね。


ストラディヴァリ以外に有名な制作者にガルネリ・デル・ジェスがおりますが、最近の手工製ヴァイオリンはガルネリモデルも多いですね。フラット型のガルネリ・デル・ジェスは有名なヴァイオリニスト:ニコロ・パガニーニが使用していましたが、パワフルな音量とシャープな外観で人気があるのでしょう。


④ガルネリ(デル・ジェス)型

ジャーマン オールドヴァイオリン Neuner & Hornsteiner 1857


ガルネリ型のf字孔は以前「違いはどこ?ストラディヴァリモデルとガルネリ(デル・ジェス)モデル」で記事にしましたのでこちらも参考くださいね。結構人気のある記事でアクセスが多いのです。いつもお読みいただきありがとうございます。


なお、f字孔の(上下)長さは②シュタイナー型→①アマティ型→③ストラディヴァリ型→④ガルネリ型の順番で長くなっています。時代的にも音質だけでなく音量をも重視した傾向が読み取れます。同様の順番でf字孔の「〇」がだんだんと「縦長の楕円形になっている」のもポイントです。


以上でf字孔の解説を終えますが、解説に照らして合わせて何度も画像を見てもらえればきっと違いが分かってくると思います。そこで最後に皆様にクイズを出しましょう。次の画像にあるf字孔をよく見て下さい。


ジャーマン オールドヴァイオリン Klotz school ca.1830


では問題です:このf字孔には面白い特徴があります。それは何でしょうか?

「大事なポイント」から見れた人はすぐ分かると思います。回答は次回に!

ヒント:左右のf字孔をみることです。大丈夫、きっと分かりますから。


今日もありがとうございます。


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