コンテンポラリー(新作)ヴァイオリンとは
こんにちは!
オールドヴァイオリン専門店
㈱ダ・ヴィンチヴァイオリン
代表の山口保行です。
「オールドヴァイオリン」「モダンヴァイオリン」と続きましたので今回は「コンテンポラリー(新作)ヴァイオリンとは」を解説します。
コンテンポラリー(contemporary)とは元々「現代的な」「同世代の」等の意味で使用されます。これをヴァイオリンの世界に当てはめますと私たちが生きているまさにその時代に活躍している製作者の楽器をコンテンポラリーヴァイオリン(新作)と呼ぶと考えて間違いではないでしょう。
そのように定義しますと時期的には現在活躍している製作者達は戦後の方々がほとんどですので1950年前後から現在までと考えるのが妥当かと思います。
作風は至って現代的で、アマティ・シュタイナーの二大巨匠の影響を受けたオールドらしさはあまり見受けられず、ストラディヴァリモデルを中心としたモダンヴァイオリンがさらに整った、形、色ともより似通っているため量産的な特徴がございます。よく見れば製作者ごとの僅かな違いがあるのですが、一見して違いが分かりにくいかと思います。もちろん本当の機械的な量産品とは技術的に雲泥の差があります。
手工製の新品ですと全く使用されていないため、細部がよりシャープな感じです。スクロール(渦巻き)もまるで機械で削ったかのようです。Cカーブ、コーナー、パフリング(象嵌細工)もとてもシャープかつ繊細な作りです。
スクロール(渦巻き)を比較してみましょう。
写真を3枚ほどご覧いただきました。きちんと計算されたようなキレイさです。でもこれらは全部違う作者です。現代の巨匠のヴァイオリンであっても一般の方には差が分かりにくくなっていますね。最近の若い製作者はさらに研ぎ澄まされてまるでキレイさを競っているように感じます。
その理由はなんでしょうか?
それは、まず製作者コンクールが大いに影響しています。コンクールで優勝・入賞すれば自分の楽器が高く販売できます。審査員も当然現在生きている人間ですから、基準は現代の楽器となります。そうすると冒険するというよりはいかに、丁寧(キレイ)に現代的(基礎技術に沿って)にきちんと製作されているかが問われます。
もう一つは、現代の製作者は昔と違いインターネットで自分の楽器や情報を発信することできるようになったことです。より美しく、整ったヴァイオリンを製作し写真を載せ、販売につなげるようになってきているのです。また、最近のイタリア人(もしくはイタリアで学んだ外国人)製作者達は自分がブランドだと知っておりますので、証明書を発行し「新作の真作」イタリアンということを売りにしている方がほとんどです。弊社にもインターネット経由で世界各国のヴァイオリン・弓製作者から販売の依頼が後を絶ちません(残念ながら、すべてお断りしています)。
ちなみに、新作が古くなるとどうなるかと申しますと、「中古品」になります。巨匠であっても、その時点で生きている製作者ですと、彼らから新品のキレイな楽器を(業者卸価格で)仕入れることができるため高く売れる可能性はほとんどありません。
弊社ではオールドヴァイオリンを専門としておりますので、ほとんど取り扱いしないのですが、コンテンポラリー(新作)がお好みの方は楽器量販店や多くの弦楽器専門店に行かれるとたくさん在庫がありますので多くの楽器からご自分の好みの楽器を選ぶことが出来ると思います。
今日もありがとうございます。
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