時を経た美しさが魅力のオールドヴァイオリン

こんにちは!

オールドヴァイオリン専門店

㈱ダ・ヴィンチヴァイオリン

山口保行です。


2015年7月7日にスルガ銀行さんで「オールドヴァイオリンの魅力」について講演させていただきました。昨日お伝えした「想像力をかきたてる魅力」はいかがでしたか?タイムスリップとまではいきませんが、音を楽しむだけでなく知的好奇心を刺激し人生の満足度を高められること間違いありません。


本日はより目に見える部分、「オールドヴァイオリンの美しさ」を解説いたします。


オールドヴァイオリンというと200年以上の時を経た独特の「古さ」を持つ外観です。形的には「オールドヴァイオリンとは」で解説しましたように「アマティ」「シュタイナー」に影響された「ふくらみ」を持つ楽器が多いのですが、古さを醸し出す「見た目」は千差万別です。


ふくらみ以外にも形で言えばボディ全体のアウトライン、渦巻き、f字孔は非常に個性的な楽器が多いです。経年変化による「ニス」の色の具合、使用の影響で出来た「擦れ(すれ)」(剥げたニス、木材の減り等)、多くの「傷」、そして過去や現在に行った「修理跡」、古いパーツ(部品)など見た目のすべてが調和し一つの絵画のような美を醸し出しています。


オールドヴァイオリンの特徴と関連するので「古さを醸し出す」例を少し画像で見てみましょう(別の記事でもう少し深く掘り下げていきます)。


ご紹介するのは約260年経過した楽器です。

イタリアン オールドヴァイオリン Lorenzo Carcassi 1757年 詳細はこちら

ジャーマン オールドヴァイオリン Georg Klotz ca.1760  詳細はこちら


いかがでしょうか?写真ではわかりにくいかもしれませんが、オールドヴァイオリンの魅力がたっぷり詰まった楽器です。詳細画像もございますので、ぜひ「こちら」をクリックしてみて下さいね。


古い物ですので修理しようと思えば部品を含め色々と新しくすることもできます。しかし、せっかくの時間の経過を経て「自然に出来た雰囲気」(ここが大事!)は二度と戻すことはできません。


職人さんの技術は大変重要ではありますが、任せっきりではなく、どのようにすれば「オールドヴァイオリンらしさ」を残せるのか、きちんと道筋を示さなくてはならないことも多々ございます。


ヴァイオリンは芸術的側面を持ちつつも演奏するための道具という工芸的側面を有しますので、演奏に耐えなくてはなりません。ニスが剥げて木材の地肌までが露出されれば当然ニスを塗りなおしますし、減った部分の木材を足して外観を補修したり、演奏に耐えるよう外部・内部の部品を交換することは当然です。


オールドヴァイオリンの魅力を損なうほどの修理、修繕、修復は楽器の価値を下げてしまいます。「楽器の価値」というのはただ単に価格を言うのではなく、目に見えない歴史的価値を含んでいます。私はそういう部分に価値を感じます。


オールドヴァイオリンは二度と戻せない「自然にできた雰囲気」を保ちつつ、音楽を奏でる道具として数百年生き続けたかけがえのない存在でしょう。


今日もありがとうございます。

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